私が M1 だったときに経験過程のあたり (17章〜19章) を研究室で読みました.なんで読もうと思ったのか,今となってはよく覚えていません.結構楽しかったのだけれど,研究では少しも使わず仕舞いでした.わかってはいることだけれど,往々にして勉強と研究は違うみたいです.
これの予習をしているときに,D 空間 (càdlàgな函数全体の成す空間) が一様ノルムに関して可分にならず,従ってサンプル点から経験分布函数を作る操作は D 空間への写像として可測にならないことを知りました.個人的には,このことがこの輪読で一番おもしろかったです.
面白いと感じるポイントは挙げようと思えば色々あります.位相空間論と測度論の相容れなさ,それらふたつをつなぐ概念としての可分性の重要性が見えるところ,可測性を壊す反例として全く病的でないが故に理論的に非常に重要であること,等々.しかしながら,そのような客観的な重要性を抜きにして,私にはこの現象がただただ愉快に思われて仕方ないのです.