Diaries written in June 2020.
人生の要所要所で一定以上の推進力をもって物事を進められた状況が幾つかあるのだが,それらは大抵背後に何かしらに対する怒りがあるように思える.何かに対する怒りや不満を力に換えて進む力を得たといえば言葉の響きはよろしいが,そういう負の感情なしに物事を前に進められないことは弱点でもあろう.
SEKIRO が進んだ.
SEKIRO が進んだ.
合間時間で確率論の質問をされたので答えた.学生の時の本業は確率論ではなかった.修論は Riemann 幾何における最適化であり,たしかに確率的最適化が顔を出しはしたのだが,確率論特有の難しさであるとか,そういうものと向き合った記憶はない.
いっぽう,好きだったのも事実である.きっと使いもしない命題たちを知らぬ間にあれこれと勉強していた.色々なところで述べたことだが,Donsker の不変原理から Brown 運動を出せることは私にとって本当に愉快だった.何の役に立つのかと問われてもわからないが,こういう話は本当に好きなのだ.
本業でないもののほうにこそつい力が入ってしまう性分,生きづらいと感じることも多々あるが,今更治るものでもなし.思い出したようにいろいろな話ができるのは個人的には楽しいことなので,これでよしとしたい.
早寝を心がけるようにした.といっても日付が変わる前に寝ることはないのですが.
ここ最近,やってきた仕事に対してあまりにもパフォーマンスが悪い自覚があったのだが,原因がわかったのでメモする次第.
どうも以下の2条件のうちいずれかを充たす場合に「これはちゃんと着地するのだろうか」という不安が強烈に強くなり,まともに頭が働かなくなるようである.
- 自分自身で複雑性の全体像を把握することができない.問題の難易度を見積もるための情報がなさすぎる.
- 複雑性を把握するのに必要な情報は手に入るが,それらの情報を検討した結果,問題が不良設計である可能性が浮上している.
11月頃に体調不良を起こしたときも,今回も,これらに該当する.
何をやっても変わらなかったことに対する学習性無気力がいまだに自分の行動の大半を説明しているような気がしている.あの経験はいまだに苦いままだし,どう向き合えば良いかわからない.
一部の事柄を除いて,生存に必須でないものに対し,情熱をさして傾けようとも思えないのである.
昼ごろまで寝ていて,その後部屋の掃除と洗濯をして,論文を読んで,SEKIRO を少しだけ遊んで,ごはんをたべて,夜には数学の話でわいわいした.
かなり理想的な休日で,文句のつけどころがないのだが,どこかぼんやりとした遣る瀬無さのようなものがあることも否定されない.なんだろうね?
金曜だというのに,おおよそ日付が変わるまでだらだらと仕事をしてしまった.いい加減こういうことのないようにしたいのだが…
随分日記をつけるのをサボっていた.どうもすみません.
今日は仕事の休憩がてら,(有限次元)線型空間の次元が well-defined に定義できることの証明を眺めていた.
背景として,「そもそもアレはかなり面倒で,Steinitz の交換補題というものを使う方法がある」という話をしてもらっていた.私はその補題の名前に聞き覚えがなかったので,はて一体自分の見たことがある証明はどんなものだったか,となって調べたのだった.
斎藤正彦「線型代数入門」をしばらく眺めていたのだが,よくよく見ると線型包の概念すら取り出しておらず,うまく有限集合だけを取り扱うことで帰納法に落とし込んでいた.無限個の点からなる「空間」を相手取っているはずなのに,有限集合だけを取り扱うことで証明が回るのは随分愉快な話である.
ところで,本の証明をよくよく検討してみると,随分と行間が広いこと,およびそんなに広い行間を検討した記憶のないことに気付かされる.昔に読んだはずの本であるが,当時の私はきちんと読めていたのであろうか?
サボっていてすみませんという話で言えば,ラテン語も随分とサボっています.
そんな中,アエネーイス読み会なるものに誘われたので,(ひととおりの文法事項も随分覚束ないのに参加して果たして大丈夫なのだろうか)という不安を覚えつつ参加してみることにした.
案の定よくわからんで,返り討ちを喰らった向きがそれなりにあることを正直に告白いたします.それはそれとして学べたことも多くあり,
- 一文を確りと検討することに随分と時間がかかること.
- 音律から発音が絞り込め,それにより活用が特定できること.
- Wiktionary は(少なくともラテン語を引くにあたっては)随分と役に立つらしいこと.
時間を見つけて取り組んでいきたいと思いました.ところで,途中で寝落ちしたことを懺悔する次第です.
とくに理由はないけれども,清水明「熱力学」を読み返すなど.「小さいけれどマクロな系」ということばに随分といろいろなものを読み取ったような気がした.
結局のところ物理を本腰据えて勉強することはなかったけれども,もし学部に入り直せることがあるならば,物理をやるのも悪くはないかもしれないと思うなど.
F# を布教されたので勉強してみたいという気持ちがある.ところで人生の時間が足りませんね?
普段飲みもしないのにビール瓶を3本空けて,随分と寝付きが悪かった.
線型代数の質問をされ,問題を見てみたところ「できるだけ coordinate free な議論で済ませたい」という気持ちの湧く問題だったので,気の向くままにやってみたところ概ね一撃で解けた.解けたのでやり方を書いてみたらびっくりされてしまった.
びっくりされるとは思っていなかったので恐縮な反面,私が学部前半のかなりの時間を投じて理解しようとした事柄に直結する話でもあったので,昔の私に対して「あなたは随分良い時間の使い方をしたと誇ってもよいのではないですか」と言ってもよいのかなと思った.
ポインタ算術とかいう太古の黒魔術について教えてもらった.随分やばいものもあったものだという気持ちになった.わけのわからないコードを見せてもらって,「これはこういう理屈でこう動作するからヨシ」みたいなことを言われ,思い切り笑った.
(私はいちおう若い方にまだ分類されると思うのだけれど)若い人たちからきちんと引導を渡されれば人生それで勝ちなのだ,という話になった.本当にそのとおりだと思う.
誰の記憶にも残らないのが一番良くないのだという話もして,たしかにそのとおりだとも思ったのだけれども,個人的には生きてさえいれば負けてはないだろうという感覚があり,一方でただ生きているだけで,かつ誰かの記憶に悪い仕方で残るという最悪なシナリオもあり得るので中々難しい.